- シャドーイングとディクテーションの違いを教えて!
- シャドーイングとディクテーションはどっちをやればいいの?
- シャドーイングとディクテーションの正しいやり方は?
独学でリスニング力の改善をするためには、シャドーイングとディクテーションが有名です。2つの独学方法の違いを知らないまま独学をしてはいけません。時間を無駄にするだけでなく、リスニング力が改善しない可能性があります。
この記事ではシャドーイングとディクテーションの違いを解説します。この記事を参考にして独学方法を選べば、無駄な時間やリソースを使わずにリスニング力がUPする可能性があがります。
シャドーイング | ディクテーション | |
アウトプット | 読み上げ(発声) | 書き取り |
リスニングスキル | 音声知覚の自動化 | 現在のリスニング力理解 |
対象者 | 中級者以上の方向け | 初心者〜上級者向け |
シャドーイングとディクテーションの違いは?
シャドーイングとディクテーションはどちらもリスニングを鍛えるトレーニングですが、明確な違いがあります。
2つの学習方法の違いを理解しないと、目的と異なるトレーニングとなってしまいます。時間を無駄にしないためにも、2つの違いをチェックしておきましょう。
- シャドーイング
- 流れてきた音声の1〜2語後を追って発声する
- ディクテーション
- 流れてきた音声の全てまたは一部を書き取る
シャドーイングは流れてくる音声の1〜2語後を追って発声するトレーニングです。シャドーイングを行うときは、周りの迷惑にならないよう自宅などのスペースで行うか、歩いている途中にボソボソ言いながら練習しましょう。
ディクテーションは流れてくる音声を聞き取り、全てまたは一部を書き取るトレーニングです。ディクテーションを行う際は、英語の音声に加えて紙とペン(タブレットやペンシル)が必要となります。自宅やカフェなどスペースがある場所で行いましょう。
シャドーイングの3つの特徴
シャドーイングならではの特徴を解説します。
- リスニングの「音声知覚の自動化」を促す
- 英語のリズムや強弱を理解することができる
- 発音の改善
リスニングの「音声知覚の自動化」を促す
シャドーイングを行うことで「音声知覚」の自動化が促されます。自動知覚を理解するために、まずはリスニングのプロセスをおさえておきましょう。
リスニングは以下の2つのプロセスから成り立ちます。
- 音声知覚
- 流れてくる音声がどんな音であるかを認識すること(例:アッポー→Apple)
- 意味理解
- 認識した音がどんな意味であるかを理解すること(例:Apple→りんご)
2つのプロセスは脳内のワーキングメモリでほぼ同時に処理されます。ワーキングメモリとは、入ってきた情報を一時的に保管/処理するスペースを指します。
リスニングが苦手な人はワーキングメモリ内で音声知覚にリソースが取られ、意味理解のスペースが少ないのがほとんどです。
音声知覚にリソースをほとんど割かずに音声知覚を完璧にすることを音声知覚の自動化といいます。シャドーイングによって音声知覚の自動化し、聞き取った音声の意味理解にリソースを使えるように改善するのです。
英語のリズムや強弱を理解することができる
シャドーイングを繰り返し行うことで英語のリズムや強弱を理解することができます。英語はすべての単語が同じトーン・アクセントで読まれることはありません。文章の中で重要なことばを強く読み、意味をあまり持たない言葉は弱く読まれます。
シャドーイング初心者の方は最初に意識する必要はありません。「英語の音を聞き取って、その英語の音を真似して発話する」を意識するだけでOKです。
発音の改善
シャドーイングを繰り返し行うことで、英語の発音も改善されます。聞こえてくる音声をできるだけ忠実に再現するトレーニングなので、発音を修正しながら発音を改善します。
発音を改善するためには、英語の音の変化を理解する必要があります。詳しくは「英語の音の変化とは?」にて解説しています。
ディクテーションの3つの特徴
ディクテーションはつぎの3つの特徴があります。
- 現在のリスニング上の課題を理解する
- 聞き取れない部分がクリアになる
- スペルと音を結合することができる
現在のリスニング上の課題を理解する
ディクテーションの最大の目的は、現在のリスニング力を把握することです。ディクテーションでは流れた音声の一部を書き取ります。書き取れなかった単語によって理由が異なります。
- そもそも単語を知らなかった
- 英語の音が聞き取れなかった
- スペルを知らない
聞き取れない部分がクリアになる
ディクテーションを行うことで、聞き取れない部分がクリアになります。聞き取れない箇所がわかれば、自分がどの部分が弱いかを理解することができます。
英語のスペルを正確に書けるようになる
ディクテーションを繰り返し行うことで、英語のスペルを正確に書く能力が付きます。ディクテーションでは、書き取りを行った後に修正を行うため、その日のうちにわからない単語を復習すればスペルの暗記に役立ちます。
またスペルを正確に覚えることは、ライティング能力の改善にもつながるので一石二鳥です!
シャドーイングの正しいやり方
シャドーイングの正しいやり方は以下のとおりです。
- 最適なレベルの教材を選択する
- スクリプトを見ながら音声を聞く
- オーバーラッピングを行う
- シャドーイングを行い、録音する
- 発音できなかった音声を振り返る
- 発音を修正するまでシャドーイングを繰り返す
シャドーイングの正しいやり方については、失敗しないシャドーイングのやり方を徹底解説!でも紹介しています。
最適なレベルの教材を選択する
シャドーイングは教材選びが非常に重要です。簡単すぎても難しすぎてもいけません。8割程度の単語を知っている教材が目安です。
スクリプトを見ながら音声を聞く
教材を選択したら、3〜5回スクリプトを見ながら音声を聞きましょう。以下のことを意識しながら行ってください。
- わからない単語や文法があれば意味と発音を調べておく
- テキストはすべて覚えようとしない
オーバーラッピングを行う
音声を聞いた後は、オーバーラッピングを行いましょう。オーバーラッピングとは、テキストを見ながら音声と同時に発声することです。
オーバーラッピングを行う際は、以下の点を意識して練習してください。
- 音声のリズムや強弱をなるべく真似る
- 音声のスピードに合わせて発声する
- 口が回らない場合は、発声ができるスピードに調整する
テキストに発音を書き込もう!
オーバーラッピングをするときは発音をテキストに書き込みましょう。テキストを見ているだけだと正確な発音やリズムを把握することができず、効果が半減します。
個人的なおすすめは、英語の発音をカタカナで書き込むこと。英語の発音を掴むのにちょうどいいです。
シャドーイングを行い、録音する
オーバーラッピングを行ったら、シャドーイングに移りましょう。シャドーイングで重要なことは英語の音に慣れること。同じ教材で繰り返し練習しましょう。目安の回数としては、1つの教材で50回〜100回シャドーイングを繰り返すことです。
発音できなかった音声を振り返る
録音を聞いて発音ができなかった音声を復習しましょう。以下の点に注意して自己採点しましょう。
- 言葉に詰まって発音ができなかった箇所はないか?
- 発音が日本語っぽくないか?
- 英語の音のルールに則っているか?
英語の音の変化とは?
英語が発話されるときには英語特有の音の変化があります。音の変化を知らないと英語を正確に聞き取ることができません。シャドーイングを学習する際は、以下の音の変化を抑えておきましょう。
>>英語の4つの音のルールとは?
- 音の連結
- 「子音+母音」で音が連結する(例:Stand up→スタンダップ)
- 音の消失
- 「破裂音(b, d, g, k, p, t)+子音」で破裂音の発音が省略されること(例:good morning→グッモーニン)
- フラップのT
- 「子音+T+子音」の組み合わせで、真ん中のTがダやラの音に変化する(例:Water→ワラ)
- 弱形
- 意味がほとんどない単語を弱く発音されること(例:I like her→アイライカー)
シャドーイングは何日かに分けて行いましょう
シャドーイングは何日かに分けて行いましょう。シャドーイングには複数のプロセスがあり、同じ教材で繰り返し行うことで効果が出始めるからです。
以下のようにスケジュールを分けて行うと良いでしょう。
>>シャドーイングの正しいやり方を解説
- 初日:教材の選択と音声を聞く
- 2日目:オーバーラッピング
- 3〜4日目:シャドーイング&録音
ディクテーションの正しいやり方
ディクテーションの正しいやり方は以下のとおりです。
- 最適なレベルの教材を選択する
- 書き取りを行う
- 音声を聞き、答え合わせをする
- 間違えてた単語や文法を復習する
最適なレベルの教材を選択する
ディクテーションを行うときは、あなたのレベルにふさわしい教材を選択してください。簡単すぎても効果が薄いですし、難しすぎるとモチベーションが継続できないからです。
教材を選択する際は、以下の点を意識して選んでみましょう。
- 7〜8割の単語を知っている教材
- 興味/関心のある分野
- 1つあたり30秒〜1分程度のテキスト
ディクテーション(書き取り)を行う
教材を選択したら、音声を聞きながらディクテーションを行います。テキストは紙にコピーするか、タブレット端末のノートアプリなどで書き込めるよう準備してください。
書き取りを行う際は一度にすべてのテキストを書き取らないようにしましょう。音声スピードの方が書き取りのスピードよりも早く、間に合わないからです。5〜10秒程度で一度音声を止めながら、書き取る時間を設けましょう。
答え合わせをする
ディクテーションが終わったらテキストを見ながら答え合わせを行いましょう。間違えていた箇所に関してはマークをして、復習しましょう。
間違えてた単語や文法を復習する
書き取れなかった・間違えた単語や文法を復習しましょう。なお、間違える原因としては主に以下のものがあります。
- 英語の音が聞き取れなかった
- 書き取れなかった単語を知らなかった
- スペルを間違えた
英語の音が聞き取れない場合は、リスニングの音声知覚が弱い可能性があります。音声知覚を鍛えるためにはシャドーイングでトレーニングしましょう。
単語を知らない場合は、正しいスペルとともにノートなどに書き留めておき、その日のうちに復習しておきましょう。
シャドーイングとディクテーションの違いを知ってリスニング力をあげよう
シャドーイングとディクテーションの一番の違いは、聞いた音声をどうやってアウトプットするかです。
シャドーイング | ディクテーション | |
アウトプット | 読み上げ(発声) | 書き取り |
リスニングスキル | 音声知覚の自動化 | 現在のリスニング力理解 |
対象者 | 中級者以上の方向け | 初心者〜上級者向け |
シャドーイングは聞き取った音声の1〜2語後をおって発声します。流れた音声の発音やアクセントを真似る必要があるので、ディクテーションよりも負荷の高いトレーニングです。
音声知覚の自動化につながるので、余裕があればシャドーイングをおすすめします。シャドーイングとディクテーションの違いを理解して、正しくリスニング力を改善しましょう!
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