- 英語の文章は読めるのに、何を言っているかわからない
- リスニング力を改善するトレーニングはあるの?
英語の音声の聞き取りを苦手とする社会人は多いです。
英語のリーディングはできるのに、音が聞き取れない人は、リスニングのプロセスの中でも音声知覚が弱い可能性が高いです。
今回は、リスニングの2つのプロセスと、音が聞き取れるためのトレーニング方法を紹介します。
- 筆者プロフィール
- ブログ運営者のくん(@kz24995458)と申します。海外駐在・留学経験なし。オンライン英会話などの独学のみで、TOEICL&R 850、VERSANTスピーキングテスト 56(B1+)を獲得。現在、外資系企業の日本支社で英語に囲まれながら勤務。
記事の要約
■ リスニングには、音声知覚と意味理解という2つのプロセスがある。
■ 音が聞き取れない人は、音声知覚が弱い。
■ 音声知覚を鍛えるには、シャドーイングを繰り返し練習することが効果的。
まずはリスニングにある2つのプロセスを紹介します。
リスニングの2つのプロセス
第二言語習得という、外国語を習得するための言語学の理論があります。
第二言語習得によると、人が英語などの言語のリスニングは、以下の2つのプロセスに分けられます。
- 音声知覚
- 意味理解
音声知覚とは?
音声知覚とは、聞こえてきた音声がどんな音なのかを理解することです。
例でいうと、”What’s your name?”を英語で読むと、「ワッツアネーム」と発音されます。たとえ”What’s your name?”の意味がわかっていたとしても、「ワッツアネーム」の音が聞き取れないとWhat’s your nameには結びつかないため、英語が聞き取れないという状態になるのです。
意味理解とは?
意味理解とは、聞き取った音声がどんな意味なのかを理解することです。聞き取った英語の意味をしっかりと理解できれば、英語を正確に聞き取れたということになります。
意味理解が弱い人は、「ワッツアネーム」と言う音自体は聞き取ることはできても、「What’s your name?」の文章の意味がわからず、何を言っているのか理解できない状態となります。
意味理解をきたえるには、単語力や文法力に加え、英語を英語のまま理解する力が必要になるのですが、別記事で解説予定なので、今回は割愛します。
音声知覚と意味理解は脳内で競合する。
音声知覚と意味理解は、ワーキングメモリでスペースを奪い合います。ワーキングメモリとは、一時的な
情報の記憶を司る脳内の作業スペースのことです。
聞こえてくる音がどんな音なのかを考える時、ワーキングメモリは音声知覚でいっぱいになります。その結果、意味理解に使えるワーキングメモリの資源が少なくなり、結果として聞こえてくる英語が理解できなくなるのです。
つまり、英語のリスニング力を向上させるには、音声知覚に割くメモリ量をできるだけ減らし、意味理解にリソースを割くようにすることとなります。
そして、音声知覚に割くメモリ量を削減するために効果的な練習法が、次に紹介するシャドーイングになります!
音声知覚を鍛えるための正しいシャドーイング方法
シャドーイングは、聞こえてきた英語の少し後を追いかけて発音することです。英語を影(shadow)のようにおいかけることからシャドーイング(shadow-ing)と呼ばれます。
シャドーイングを行う上でのポイントは、以下の3つです。
- ①:スクリプト付き音声を選ぶ
- ②:自分のレベルにあった興味のある教材を選ぶ
- ③:何回も繰り返す
一つずつ解説します。
スクリプト付き音声を選ぶ
スクリプト付き音声を使用することは必須条件です。スクリプトがないと、いくら音声を聞いてもどんな単語が発音されているのかがわかりません。TEDやプレゼンなどのYouTubeでは、字幕付きで視聴することができるので、素晴らしい教材です。
TEDで800万回以上再生されているテーマ、Grit(成功のカギはやり抜く力:アンジェラ・リー・ダックワース)は教材としておすすめです。
やや英語のスピードは早いですが、使用している単語の難易度は高くないので、英語の耳になれるのに最適な教材といえます。
教材選びのポイント
スクリプト付きの音声を選ぶときは、30秒から1分程度の短い音源を選びましょう。5分や10分の音声を聞いてもいいですが、後述のように繰り返し行うためには、短い文章のほうが負担が少ないです。
たとえば、4分動画の場合は最初の30秒を繰り返してヒアリングを行うなど、時間を短くして勉強しましょう。
自分のレベルに合った興味のある分野を選ぶ
自分のレベルに合った教材を選びましょう。
無理をして難しい教材を選んでしまうと、確実に挫折します。英語学習で最も重要なことの一つは、少しずつでもいいので継続して勉強すること。
まずは興味のある分野で全く問題ないので、継続ができるテキストを選びましょう。
何回も繰り返す
選んだ教材は、何回も繰り返しましょう。ありがちなやり方としては、5回程度読んで次の教材にうつるというフローですが、英語音声を理解するのに十分な量とは言い切れません。
聞こえてくる音と、英語の意味を結びつけるためには、何度も音を聞き直すことが重要になります。
おすすめのシャドーイングの練習スケジュールは以下のとおりです。毎日30分程度勉強すると仮定します。
- 一日目:教材選び。スクリプトをコピーし、聞き取れなかった発音をメモする。
- 二日目:オーバーラッピング*。なれたらシャドーイング。
- 三日目:シャドーイング追い込み。
*スクリプトを見ながら、音声とかぶせて発音すること。英語を聞きながら一緒に発音するので、シャドーイングより易しく、かつ効果の高い練習法です。
音声知覚を改善しよう
シャドーイングは英語音声の自動化し、意味を理解するリソースを増やすために非常に効果の大きいトレーニング方法です。
文章は理解できるけど、音が聞き取れないという悩みを持つ方はぜひシャドーイングを頑張りましょう。
しかし、社会人の方がビジネス現場で海外の人と英語でコミュニケーションをとるには、リスニングはあくまでもスタート地点。自分の意見を適切に述べることができて、はじめて英語が喋れる状態と言えるのです。
あまり時間がない方は、英語コーチングで短期集中で話せる英語を学習することも手です。
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